好きなら好きなだけ遠いよ

ぶつくさと独り言

愛はPARCO

-渋谷パルコ8Fシネクイント-

bershkaの脇の小さな路地に入りスペイン坂を登っていく。ああ見えたシンゴジラの看板だ。なんだか渋谷パルコが崖の上にそびえ立つ城のように見えてくるこの道が好きだ。そんなことを思いながらpart3の中に入りエスカレーターで8Fを目指す。閉所恐怖症ってわけじゃないんだけどエレベーターはどうも苦手でね。あれ、このフロア、エスカレーターがないぞ、階段で行くしかない。確か5Fか6Fだった。仕方なく登っていこうとしたら階段の壁に絵を描いている人がいる抽象画のようだけどなんだろう、仕事でパルコにペイントなんてものすごくカッコいいな、声かけてみようかな、なんてぐるぐる考えて上がる筈の階段を下っていきその人の脇を通った。案の定話しかけられなかった。そしたら後日その人は竹谷嘉人さんだと判明した。フォローしてたイラストレーターさんだったから興奮しちゃったな。それで階段で上って行ったのはいいんだけどエレベーターじゃないと8Fに行けなかったみたいで結局乗ったんだ。そうだそうだ何の映画を観ようとしていたのかまだ言っていなかった。『シングストリート』を観るためだったんだ。周囲の人がこぞって絶賛していたから気になってはいたんだけど、映画館へ足を運んだ決め手は万理華さんから送られてきた 件名:シングストリート のメールだった。初めて来るシアターでおろおろしながらカウンターにいるお姉さんに「シングストリート大学生で1枚ください」と言う。よかった声が震えなかった。私は普段食べ物を注文したり、店員さんに何か聞くのだって本当に喉の奥から声を絞り出して話しているんだ。外食した時はお店の人にごちそうさまでしたと言うようにしているけど、声が小さすぎて気づかれないことがよくある。高校時代剣道部だったし大きな声は出そうとすれば出るけれど、その音量を人との会話で出せたことがない。こういうところが対人困難性とか言われちゃうんだろうな。はあ。そして13:00になり映画が始まる。

 

www.youtube.com

 

主人公のコナーもやっぱりどうしようもなさの中で生きているんだよね。父と母の仲は冷え込んでいるのにカトリックだから離婚が難しいし、そのフラストレーションは内に家庭の中に向けられる。そんな二人の口喧嘩に耳をふさぐように自分の部屋でギターを弾く。経済的理由から公立の男子校に転校することになるけれどそこの野郎共が荒れに荒れてるんだよ。暴力が蔓延っている。しかもそのシーンのBGMが「Stay Clean」育ちの良さそうなコナーは案の定ボコボコにされちゃう。でも学校の向かいの建物にいた美人に惚れて、気を引こうと勢いでバンドを組んじゃうんだ。ウンザリする現実を振り切るように仲間と本気で音楽に打ち込んで、モデルの彼女にMV出演してもらって。毎日が輝き始める。それなのにまた現実がのしかかってくる。そんな中で歌った「Drive It Like You Store It」

 

www.youtube.com

 

Sing Streetで一番好きな曲だ。これは君の人生だ、何にだってなれる。どこにだっていける。私たちはまだ若いんだから悲観的にならず信じて突き進むべきなのかもしれない。そこで生まれた熱量が変化をもたらすのだから。何者かになれなくたって、この後の人生この美しい過去の為だけに生きていられるじゃないか。『シングストリート』この映画は私の思う青春、恋愛そのものだった。「彼女を見てると僕は泣きたくなる」コナーは言った。ああわかるよ、わかる。好きで好きでどうしようもないんだ。ラストシーン、二人は大荒れの海原に飛び出す。海の向こうのロンドンを目指して。

 

 

-渋谷パルコ前-

8月7日。渋谷パルコ最後の日。シネクイント最終上映『バッファロー'66』のチケットを取った。18:00からの開始だが今はまだ昼だ。公園通りを練り歩くパレードに大好きなライカさんとレイチェルさんが参加するときいて、一目見ようと思ったんだ。いやしかしすごい人の数だ。報道陣もいっぱいいる。そこかしこにカメラがある。

f:id:ziishiki:20170121115148p:plain

まだかなまだかななんて待っていたらようやくきた!縷縷夢兎に身を包んだミスiD。その距離1m。彼女達が現れるとシャッター音とフラッシュが一気に降り注がれる。画面の中の人が目の前にいる。私は興奮してめちゃくちゃに写真を撮っていた。前にもこの話はしたけれど、暴力的な眼差しを彼女達に向けてしまった自分を反省している。

f:id:ziishiki:20170121121753j:plain

一般人の方々もいるんだけど、前列はこうやってミスiDだったりブランドの海外モデルだったりローカルアイドルだったりパルコの店員さんだったり関係者だった。

 

f:id:ziishiki:20170121121018p:plain

お二方を見たいが為にこんな人混みの中もみくちゃにされながらいたので、当然追いかけて歩き始めるわけだ。れいちゃーん!れいちゃーん!ひと際大きな歓声を受けてる人がいる。黒宮れいだ。この人女王様っぽいし性格キツそうだしなんか苦手だななんて思ってたんだけど、歓声を上げているのは全員女の子で、彼女はその子達に優しく微笑んで手を振ってあげていたし、セルカ棒でツーショットまで撮っていた。ああなんだこの人恐ろしく誤解されちゃうタイプの人だ。優しくて綺麗で儚いのにものすごく曲解されちゃう人だ。なんてコロッと好きになってしまった。

 

そんなこんなで18:00が近づいてくる。『バッファロー'66』は名前は聞いたことがあるけど観たことない映画で、クリスティーナリッチが天使の可愛さだし、渋谷パルコ最後の最後の上映だったからなんとしても観たかったんだ。感想は"好きな子のためならなんでもできる"です。観終わったらもういい時間で、もうすぐで本当に最後だから中も外もお祭り騒ぎだった。瓶のりんごジュースをもらってジブカル特区で水野しずさん見かけたし、スペイン坂スタジオが閉まるとこも見たし、やべえぞやべえと私も雰囲気に酔って気分があがってきた。

 

f:id:ziishiki:20170121135844j:plain

こんな感じで夜を過ごしているともう時間が迫ってきた。part1の入り口に行くと、見渡す限り人人人人人人人。間に合った。3,2,1。渋谷からPARCOが消えた日、その瞬間、その場所に私はいたんだ。「ありがと。サンキュー。しばらく、またね。3年先で、待ってるよ」

渋谷パルコには数えるほどしか来たことがない。けれど一つの文化、一つの概念、一つの象徴が終わりまた生まれ変わってゆく。その歴史的な瞬間に立ち会えて血が騒いだ。日本は、東京は、オリンピックに向けてどんどん形を変えていく、本当にどうなっていくんだろうか。私はどうなっているんだろうか。楽しみだ。

f:id:ziishiki:20170121142947p:plain

 

『渋谷からPARCOが消えた日』

いつか思い出すでしょう今日を…一度消えてしまったものがちゃんと形になる日のこと…2019その頃私は大人

きっとPARCO PARCO PARCO PARCO PARCO PARCO PARCO DAYs それまで待つよ未来でまた会いたい

愛はPARCO PARCO PARCO PARCO PARCO PARCO PARCO Only 視線の先に遮るものがないよ

ずっとPARCO PARCO PARCO PARCO PARCO PARCO PARCOだけ 悲しい時は涙我慢しながらあのファッションビルをいつだって見上げてた

サヨナラじゃない渋谷PARCO

 

 

もう半年も前のことで記憶が曖昧になってきたけれど、あの夜のことは忘れたくないな。adiós!